メンバー研修として「難民アシスタント養成講座」に参加しました

難民支援協会(JAR)主催の「難民アシスタント養成講座」(11月11日、11月18日開催)に、難民プロジェクトのメンバーが研修の一環として参加しました。Living in Peace では、よりよい活動を行うため、勉強会の実施や研修の受講を推奨しています。

このレポートでは、講座を通じて知った事実や新たな気づき、また、今後で役立てていきたいことなどをメンバーそれぞれがまとめました。

難民アシスタント養成講座とは

ここ日本にも毎年多くの人が難民として逃れて来ています。難民保護という観点からの制度の課題に加え、難民が社会の一員として暮らしていけるような受け入れのあり方や地域づくりなど、市民一人ひとりが考え、担うべき役割は大きくなっています。難民アシスタント養成講座は、難民について知り、一緒に考える講座です。(難民支援協会のホームページより)

入国からの様々な困難を踏まえながら、社会統合に向けた好循環を生み出したい

研修に参加し、難民の方々の可能性が奪われてしまっている状況や、それを生み出している法制度について知ることができました。また、就労・日本語学習の支援・カルチュラルダイバーシティインデックス普及等の活動を通じて、難民等の方々の社会とのつながりを生み出して、生き生きと活躍する場を広げることで、社会統合につながっていく、このような好循環を生み出していきたいという思いを強くしています。

国内の難民の状況や課題を「知る」重要性

国内の難民支援は、法的支援、緊急的な生活(経済)支援、生活基盤の安定に向けた定住支援など様々な領域にわたります。

Living in Peace 難民プロジェクトでは、日本語習得やキャリアなど定住とその先に向けた支援が主な領域となっているため、日頃の活動だけではなかなか法的知識や、入国後の生活などについて十分な情報を得ることがかないません。今回の受講で、支援をされている専門家の方々の話を伺い、より多くの視点で難民等がぶつかる問題や支援の現状をより鮮明に知ることができました。日頃接している方々の背景について思いを巡らせながら、新たに取り組むべきことを考えていきたいと思います。

人は、知らないことに興味関心を持つことはできません。私たちは、常に、難民の方々がぶつかる壁について広く知ろうとし、Living in Peace として果たすべき役割について考える必要があります。

また、難民(避難民)に関する報道が多くなることで、問い合わせが増えることがあります。報道を通じて情報に触れることで興味を持っていただけるように、難民の方々の日本における”定住(暮らし)”についても、発信を積極的に行い、より多くの方に関心を寄せていただけるよう努めてまいります。

「日本語」が話せることで得られる他者・社会との繋がり

海外における移民の言語習得支援の事例や、ムスリム女性に対する日本語習得支援の事例を学び、暮らしていく場所の言語を習得する必要性に対する理解を深めることができました。日本でも、病院・スーパーなどの日常生活で日本語が必要になるだけでなく、地域や(子どもの)学校など、難民の方々が属するコミュニティにおいて「他者とつながる」ためには日本語が大きな役割を果たします。講座では、日本語が話せることで、地域や社会とつながることができ、「(地域・社会のために)何かしたい」と貢献意識が芽生えるケースについても伺いました。

日本語の習得が、コミュニティへの参画や就労のきっかけを作り、またその機会を得ることが、さらなる日本語習得に対する意欲となり、社会統合につながっていく、このような好循環を、私たちの学習支援事業で推進していきたいと考えています。

生活支援と難民認定制度の実情

Living in Peaceでは主に就労支援や日本語学習支援という定住に関わる支援を主な活動としています。それはある程度の生活基盤を持っている方々の支援ということになります。

一方で、そこに至るまでに日本に着の身着のままで逃れてきた難民の方々が、ある程度の生活基盤を築くことの困難さを本講座で現場のNPOの方のお話として伺いました。自分が全く知り合いのいない外国にお金もなくて到着したときに何をやるかというワークショップでは、難民の心細さを疑似体験しました。1日30人以上の相談があり、住宅サポートが間に合わず、公園のテントで生活している難民の方もおられるとのことです。

また、難民認定を勝ち取るまでの非常に困難な道のりを現場でサポートされている弁護士さんからのお話では、あまりに過酷な現状に聞いているのも胸が苦しくなるような内容でした。このような事が、日本の見えない部分で行われていることに衝撃を覚えるとともに、この理不尽の中で活動を続けておられる方々への尊敬の念を禁じえません。

私たちのように定住に関わる支援に取り組む場合も、難民認定制度の実情や、その背景にある1978年のマクリーン最高裁判決(外国人に対して日本国憲法が保障する人権が、どこまで保障されるのかという点で指導的な判例)などについてもしっかりと理解すべきことを痛感しました。

私たちが成す社会。少し視野を広げてみることで何かが変わる。

「人が人らしく生きていける社会をわたしたちの手で」―支援に奔走されている弁護士の方のこの言葉が強く印象に残りました。人は生まれながらに国とつながり、その保護を受ける。内戦などの外的要因によってそうした保護を失い、言葉も文化も異なる土地で将来のことも見通せないまま生きていくのがどういうことか、想像でしかありませんが、それでも思いを寄せることはできます。同じ社会に、保護を失った理不尽な状況にいる方々がいること、日本の難民認定制度においてそうした方々への保護が行き届いていないなかで、それぞれの立場でできることを模索する方々のことを知ることができました。日々見ているのは世界のほんの一部でしかなく、自分が生きている社会のことですらいかに知らないことが多いか、この講座で改めて気づかされました。

「知ること」「気づくこと」は行動の出発点です。誰にでも何かしらできることはあります。その小さな行動こそが社会を変えていくのだと思います。Living in Peaceもそうした小さな気づきや思いが行動につながっていく場です。

少し視野を広げてみるだけで、できることはたくさんあります。この社会を成しているのは私たち一人ひとりです。この講座とLiving in Peaceの活動を通して、多様な人々が集まる今の社会だからこそ実現できる豊かな世界があるのではないかと感じています。

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