
本日はLiving in Peace (LIP)の仲間を紹 介しつつ、私たちが難民支援にどんな思いで取り組んでいるのかをお伝えします。インタビューに答えてくれたのはLIPに入会して半年になるKさんです。Kさんは美容業界の広告制作に携わっていますが、仕事で多忙を極めているうちに「このままでいいのだろうか」と感じるようになり、ある決心をもってボランティア活動を始めるようになったといいます。
ーーLIPに入ろうと思ったきっかけは何ですか。
学生時代から、人権問題や人道支援には常に関心を持っていました。とりわけここ数年は入管の対応や難民の皆さんの安全が気にかかっており、入管の収容所で体の不調を訴えながらも亡くなったカメルーン人男性やスリランカの女性の件に注目し、人権を守るためのデモに参加したり、難民関係の団体に寄付をしたりしていました。
ーー遠い所に生まれ日常的にかかわりのない人たちが気にかかるのは、なぜでしょう。
祖国で常に危険と隣り合わせだった人、戦争や紛争で自国にいられない人、命を脅かされる人たちが、安全を求めて他国にたどりつく。それが難民と呼ばれる方々です。難民認定率はOECDの中でも低く、そのハードルが非常に高いことが問題と感じていましたが同時に、日本語を学んで仕事を探して……といった暮らし自体も大変で、ストレスは相当なものだろうと思います。生活習慣も文化も言葉も、全くわからない状況で暮らしている中で、偏見や差別の対象になってしまうことは、もしも自分だったら絶望してしまうだろうし「やりきれない」と感じます。
ーー必死の思いでたどりついた所でも迫害されるって、つらいですよね。悲しいことですが難民についてはいま、各国で排除の傾向が強まっています。
そうですね。多くの難民が押し寄せている欧州や米国とは事情が違うけれど、日本では「難民」と聞き「自分には遠い話」と感じる人もいるかもしれません。それは特別なことではなく、日々の成果で余裕がない時ほど自然におこる感覚で、私たち自身もその感覚から完全に自由ではありません。
ーー国民の生活が大変なのに外国の人を助けるのはどうなんだろう…というムードは確かにありますよね。
自分も追い詰められて、努力を重ねても自活できなかった期間が長かったため、その思いに至るのは痛いほどわかります。それぞれの苦しみに大小はつけられないのも、他にも寄り添うべき人たちが大勢いることも。ただ、言語の壁が高すぎて、自分の努力ではどうにもならない、命の危険に脅かされている状況に置かれた人がいるなら、まずはその人に手を差し伸べたい。その積み重ねが「困っている人を取り残さない」という文化を育てると思っています。またそういった方々に目を向けて制度を整えることで、結果として、普段の生活で追い詰められていると感じている方、社会に居場所がないと感じている方、その他将来に不安を抱えている多くの方たちにもその波(制度や支援)が届くだろうと考えています。

ーーKさんはなぜ今、ボランティア団体に入ろうと思ったのでしょう。
世界がどんどん悪くなっているような気がしていて……。終わりの見えないガザへの侵攻もその他世界各地で起きている紛争も、本当につらかったです。日本も少しずつ戦争に加担している気もしてしまって。同時期に仕事が多忙を極めて疲れ切ってしまって、心が壊れかけました。そんな時にふと、きらびやかに見える美容系の世界にこのままいていいのだろうか、本当にやりたいことができているのだろうか…と感じるようになり、「自分の労力を使うなら、ずっと関わりたいと思っていた人道支援の道に進みたい」と思ったんです。
ーーなるほど。それで寄付ではなく、より近い距離で支援できるLIPに入ることにしたのですね。実際にLIPで活動を始めてみて気持ちの変化はありましたか。
MTGを見学した時には、「自分にも貢献できることがあるだろうか、役に立てるのだろうか」と不安もありましたが、バックグランドも業界も全然違うメンバーが集まっているのがLIPの強み。それぞれが自分の知見を持ち寄りながら物事を成し遂げていくというスタイルなので、私もようやくですが自分のスキルを少しずつ活かせているな、とやりがいを感じることができています。
別の業界・職種の方と1つのプロジェクトを進めていく作業は、本業だけでは気づかなかった視点を持ったり高い視座で物事を考えるきっかけにもなったりするため、本業にも多いに役立つなと感じています。そして何より、同じ志をもっているメンバーがこんなに多くいて、いろいろな社会課題について話し合えることが、とてもありがたくて心強いです。私の居場所を見つけた、と思っています。
「社会のことも私事(しごと)に。」というミッションステートメントは、常に自分の中にもある考え方でした。
難民PJ(プロジェクト)だけでなく、こどもPJやグリーンビジネスPJ、貧困に苦しむ人たちの経済的自立へのきっかけを提供するマイクロファイナンスPJなど、今まで自分が気にかけていても何もできることがない…と歯がゆさを感じていた問題に対しても、他のPJのメンバーが一生懸命取り組んでいる姿を見ると勇気をもらえます。
結果、本業も非常に前向きに楽しめるようになりました。

ーーそれは大きな、うれしい変化ですね。
はい。いま難民PJに所属していて、日本での自立やキャリアの実現を目指す難民の方々の就職相談に乗ったり、日本語学校に通う難民の面談をしたりしました。みなさん、学ぶのが困難な漢字を本当に一生懸命に勉強されているんです。キャリア相談では、日本人でもどう書くかすごく悩むエントリーシートで一生懸命自己PRを考えていて…。ご苦労が身に沁みます。日本語能力試験のN2というかなり高いレベルの試験に合格していても、仕事を見つけるのが簡単ではないことも、わかりました。
ーーこれからはどんな貢献をしたいですか
日々の生活や将来に不安を抱えている人たちを「他人事」(ひとごと)にしたくはない。かつて自分が身を置いていたファッション業界や、現在関わりのある美容系の業界は多様性や人権を尊重・重視する業界でもあり、平和な日常を希求する姿勢を体現する上で欠かせない要素であり、業界であると考えてい ます。ます。だからこそ、この業界の企業に、難民を採用する視点をもってもらうよう働きかけがしたいです。難民の皆さんと接して必死に生きる人たちの気持ちを知ったので、多様性をもつ人が就職できる企業を開拓していきたいです。






