2024年10月度おしごとリップ開催

私たちLiving in Peaceは、児童養護施設で生活する中学生から高校生の子どもたちに、世の中の様々な仕事を知ってもらう機会として、キャリア教育「おしごとリップ」を行っています。

関西おしごとリップ

10月13日、関西地域での「おしごとリップ」を開催しました。今回も、生駒学園と高鷲学園の2施設から12名の子どもが参加してくれました。

今回は「モノを販売・仲介する業界」から小売の話をピックアップ。ご自身の店舗で仕入れや販売をされる傍ら、メーカーとタッグを組んでオリジナル商品の企画にも取り組まれているT&E JAPAN株式会社の染谷江里さんに、講師としてお越しいただきました。

まずは、メーカーや消費者の間をつなぐ小売業の立ち位置を、子どもの身近にある小売店を想起しながら、フローチャートを用いて説明するところからスタートです。

『小売業は、多様化するニーズを捉え、アイデアと工夫でお客様に「喜び」を届ける仕事』と紹介され、その仕事を成すために存在するさまざまな職種(バイヤーや店舗運営など)が担う役割について、簡単にお話をいただきました。

続くワークは、「商品の魅力を考えて発信しよう!」と題し、商品のキャッチコピーを考えてみようというもの。「商品情報の把握、ターゲットの想定、キャッチコピー検討」という作業を通して、小売の仕事の一つである「商品の魅力を消費者に伝える仕事」を体験してもらいます。

用意された3つの商品から、売りたい商品をグループで一つに絞り込むところから始めます。選んだ商品の詳細情報をインプットしたり、販売対象を選んだうえで、その内容をグループで共有し、商品の魅力を書き出していきます。

相手に響く魅力は何か、自分だったらどういった言葉に対して購買意欲を感じるかなど、相手の気持ちになって言葉を紡ぎだす子どもたちの姿に、熱意を感じました。思うように言葉が生み出せないグループの子どもたちも、染谷さんのアシストに応え、なんとか言葉を生み出したその瞬間には達成感の込められた歓声が上がるほどでした。最後には、考えたキャッチコピーを、用意したデザインに落とし込んで完成です。

素材の特徴や、作り手の思い、そして手に取る人の情景を描きながら、短いテキストの中に込められたキャッチコピーたちは、すべてが素晴らしく、大人が目を見張るものでした。

講義の最後は、染谷さんの仕事観を伝える時間です。ワークで頭をフル回転させたにもかかわらず、真剣に聞き入る子どもたち。『困っている「人」を、自分の好きな「もの」や「こと」で、喜ばせる仕事がしたい』、『特別な能力がなくても、人を思いやる心があれば、誰かの願いや困りごとに応えることができる』といった染谷さんの仕事観や人生観が、子どもたちに届いている様子が感じられました。

また、先月までは同じ施設の子どもどうしで講義を受けてきましたが、今月から施設の垣根を超えたグループ編成で臨んでもらうことに。関西でははじめての取り組みでしたので不安な部分もあったなか、意見を共有する必要があったワークの時間には、打ち解けた様子の子どもも見られ、今後のコミュニケーションの発展に期待を持つことができました。

実は今回、完成したキャッチコピーが実際のお客さんの目に触れる機会に恵まれました。今回のワークに商品を提供してくださった講師の染谷さん、また本業で糸製品の企画・販売に携わるLIPメンバーのポップアップストアに、製品のPOPとして、子どもたちが作ったキャッチコピーが並んだのです。その様子を、写真でご紹介いたします。

<商品を提供してくれたLIPメンバーの声>
子どもたちが作ったPOPの視認的効果もあってか、手に取ってくださったり、見てくださったお客さまも多く、それを機に接客に入ることができました。製品のことや、POPに込められたメッセージの背景などをお伝えし、実際に購入につながった商品もあり、大切な製品のつくり手として、とても嬉しく思いました。

11月のおしごとリップでは、実店舗に並べられたキャッチコピーの写真を共有したいと考えています。子どもたちが喜ぶ笑顔を想像すると、とても楽しみです。

東京おしごとリップ

10月27日に開催した「おしごとリップ」に9名の子どもが参加してくれました。今回は「国民・住民・社会にサービスを提供する業界」をピックアップし、LIPメンバーの里見さんにお話いただきました。

公務員といえば子どもたちの近いところでは学校や役所などがありますが、地方公務員の事務職として就職した後のキャリアは様々です。

里見さんは医療福祉分野の職員として、病院の企画職をされています。お医者さんや看護師さん、その他様々な専門的な立場で働く方々をまとめるお仕事です。業界説明の中では、日本の医療制度についても話していただきました。

子どもたちが少なからず利用する“病院”や“医療”も税金や制度により成り立っていること、そういったことに対して社会の一員として関心を持つ重要性を説明してくれました。子どもたちにはまだ少し難しい話かもしれませんが、学校の勉強やこれから社会に出ていく中で少しでも何か考えるきっかけになってくれればと思います。

ワークでは、病院を新しく立てるとしたら?というテーマで実施しました。

どんな場所に建てるのかを決めたうえで、そこにはどんな人がいるのか?どれぐらいの規模や診療科が求められているのか?という点から病院のイメージを膨らませていきます。

子どもが多い地域だから小児科に重点を置いた方が良い!、病院が少ない地域に作って誰でも利用できるような病院にしては?などと、各グループでたくさんの意見が挙がりました。

子どもたちの感想にも、付箋を利用して意見を出していくのが面白かったと書いてくれていました。利用者の立場として実際にこうなったら良いと感じることを案として挙げたり、診療科の特徴を調べて「どれぐらいの入院がありそうだから~」と意見を出す姿勢はとても頼もしく感じられました。

ワークの後には、地方公務員になるための進路情報や里見さんのこれまでの経歴についてお話いただきました。“公務員”のお仕事に興味が持てたのか、お話の途中で「公務員として働くには?」「どんなことが楽しいの?」と質問が挙がっていました。

最後に地方公務員として働く中で、新しい領域にチャレンジしてきた里見さんから子どもたちに向けて、メッセージをいただきました。

おしごとリップを通して様々な新しいことにチャレンジしてくれていますが、これからも自分で壁をつくらずにたくさんの経験ができるという気持ちを持ってくれたらと思います。

私たちLiving in Peaceは、これからも子どもたちのキャリアに対する意識向上に少しでも貢献できるよう、キャリア教育「おしごとリップ」のプログラムを心を込めて届けて参ります。今後とも、皆さまのご支援を賜りますようどうぞよろしくお願いいたします。

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