ブラジルのマイクロファイナンス関連機関 訪問記〜初の南米でのファンド組成に向けて〜(その2)

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Living in Peace(以下LIP)の齊藤です。
前回、ブラジル入国から初日までをお伝えしたブラジルのマイクロファイナンス機関訪問について、第二回をお届けします。(第一回はこちら
2日目は前日に続き、これまでオンラインでやり取りしてきたマイクロファイナンス関連機関と、それらの機関を紹介いただいた大学の研究機関を訪問しました。

2日目午前:TAKARA Institute訪問

朝10時から、現地のNGOを訪問しました。大学にも所属する日系ブラジル人の方が立ち上げた組織で、マイクロファイナンスを行う銀行向けに、技術面および資金面での支援を行うことを目指しています。

ブラジルでは、銀行は融資額の2%相当をマイクロファイナンスに充てることが法律で定められています。しかし、実態としてはそこまで至っていないのが現実だそうです。その要因の一つに、銀行がマイクロファイナンスの与信リスクが高いと考えている、ということがあるようです。
そこで、大学での研究をもとに、データを活用した与信分析を行う技術を開発しようとしているとのことでした。さらに、与信分析と、貸し倒れが発生した際の資金面での支援を組み合わせることで、銀行がマイクロファイナンスに充てる融資割合を増やせるようにしたいという構想です。現在ファンドを運用しているHAKKI Africaにも通じるものを感じました。

打ち合わせをした代表の方は日系ブラジル人で、日本にも4年間住んだ経験があるそうです。過去にオンラインで何度か打ち合わせをした際には、日本語で気さくに挨拶してくださっていました。また、ご両親が過去に借入を返済できなくなった経験から、マイクロファイナンスのプロジェクトに取り組んでいるというお話もされていました。
打ち合わせ場所は、前日と同じパウリスタ通りのコワーキングスペースの別室でした。握手を交わし、先方が取り組んでいる事業をより深く理解するため、プロジェクトの進捗や、我々としてどのような協力ができるかについて意見交換を行いました。直接伺った甲斐もあり、最近ご結婚されたという話など、オンラインでは分からなかった近況も知ることができました。

2日目午後 Fundação Getulio Vargas訪問

午後は、ブラジルでマイクロファイナンスを研究している機関を訪問し、ランチミーティングを行いました。今回訪問した2団体も、もともとはこちらの機関にご紹介いただいたことがきっかけです。
日本からの訪問ということもあり、これまでオンラインでやり取りしていた方に加え、今回は教授とも初めて面会することができました。平日の訪問だったため、キャンパス内は現地の大学生で賑わっていました。

打ち合わせは、建物4階のカフェテリアで、ブラジル料理を食べながら行われました。先方は、ゲイツ財団などからの寄付を受け、ブラジル各地のマイクロファイナンスの状況をインタビュー調査し、その内容を報告書としてまとめているとのことでした。我々がブラジルで市場調査を行うにあたり、協力いただけないかと相談したところ、快諾いただくことができました。
前日に訪問したコミュニティ・バンクに加え、ブラジルではNubankのようなフィンテック企業も台頭しています。現地では金融包摂がかなり進んでいるという認識のもと、マイクロファイナンスのニーズや課題についても話を伺いました。教授によると、アクセス・量・質の3点のうち、特に「質」に課題があるとのことでした。

ブラジルは高インフレ体質やマクロ経済の不安定さから、もともと貸出金利が高い国として知られています。そうした背景もあり、金融包摂の「質」という観点では、金利が高く短期融資が多い点が課題だと指摘されていました。また、短期的な利益だけを追求しない、日本的な考え方が重要なのかもしれない、というお話が印象に残りました。

ブラジル渡航を振り返って

ひたすら人と会うための一泊二日の旅でしたが、実際に会ったからこその新たな発見や進展もあり、非常に充実した時間を過ごすことができました。事前に現地駐在メンバーから「道端で携帯電話を出していると盗まれる」と聞いて心配していましたが、トラブルもなく無事に帰国できました。
お土産には、現地に駐在している佐々木さんおすすめのDengoのチョコレートを購入し、LIPのメンバーにもお裾分けしました。

渡航中に読んでいたブラジル人作家の小説には、「何かを強く望めば、宇宙のすべてが協力して実現するように助けてくれる」という印象的な一節が何度も登場します。ブラジルでのマイクロファイナンスファンド組成に向けては、まだまだ課題が山積みですが、今回の訪問のように、国内外での対話を通じて協力者を募り、少しでも貧困削減につながる取り組みを前に進めていければと思います。

最後になりますが、今回の執筆にあたってご協力いただいた木下さん、胡桃沢さん、井戸上さん、山本さん、そして現地訪問にあたり各種調整をしていただいた佐々木さんに、心より感謝申し上げます。三回にわたってお届けしている訪問記、次回はいよいよ最終回です。2024年から本業でブラジルに駐在されている佐々木さんによる総括をお届けします。

(次回へ続く)

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